1ex.me/Blog/anthology-automation

同人誌の編集コストが爆発したのでさすがに自動化した話

TL;DR

計画的に原稿を出してください

背景

同人誌、楽しいですよね? 作ったことがない? 楽しいのでぜひ作ったほうがいいと思います。

簡単です。先に即売会に申し込み、締切を設定してケツに火を点けるだけです。

冗談はさておき(※上記の内容は事実です。本を作るのはとても楽しいし、少なくとも僕は愚かなので締切がないと進みません)、最近は合同誌の編集役をやっていることが多いです。

具体的には原稿を頂いた後に内容を見て、整合がおかしい点を確認したり、各人のパンクチュエーションの使い方などを可能な限り揃えにかかります。校閲まで終わったら組み上げて入稿可能なようにして、その後ろで搬入上限と需要と勘案しながら部数を決めておき、頁数と部数が決まると当日の搬入質量がわかるので当日のオペレーションを組むなどしています。当日は無限の開封と無限の箱捨てを行うなどしています。全部? 全部かも

そして、ほとんどの場合寄稿者は締切ジャストに原稿を出してくると考えて差し支えないため、初稿の提出から一気に忙しくなります。

マズい! 爆発する

メッセージが爆発する(した)

原稿の数だけ校正メンバーも巻き込んだやりとりが入るので、まず最初にDiscordの会話がめちゃめちゃ混線する困難が存在します。

進捗管理が爆発する(した)

原稿の数だけ“今誰がボールを持っていて、その人は何を任されているのか”が全部違うのでかなりちゃんとした進捗管理をしなければなりません。リマインドも必須だし。一発spreadsheetを立ててもいいのですが、Discordとspreadsheetと実ファイルのコメント欄すべてを確認せねばならず終焉ります。終焉りました。

原稿が間に合わない(そういうこともあった)

時に原稿は間に合いません。そういうもんです。ですが別に学位論文じゃあるまいし、締切でバッサリ切るのも薄情なもんです。なので校正フェーズをバッファとして食いつぶす代わりに滑り込みを許容することにしています。

組み上がり間際になって校閲のミスを見つける(あるある)

本当にあるあるで、InDesignの正規表現フィルターの世話になりまくっているのですが、それでもダメなことが多々あります。具体的にはなぜか閉じの括弧だけ半角になってるとかemダーシが罫線記号とか……

なんとかするぞ

コミュニケーションを整理する

混線への対処はそこまで複雑でも難解でもなく、シンプルにスレッドを分ければいいだけです(理論上は)。具体的には既存のチャンネルから書き込み権限をひっぺがしてスレッドオンリーにするか、フォーラムチャンネルにするかのいずれかです。だいたい後者を選びます。前者はUIとして利便に劣るだけでなく、タグをつけられたりするので。

実際はチャンネル移行で不活性化してしまうのが一番怖いので、なんだかんだ事前に何回もリマインド飛ばして、かつ校正チャンネルがあまり機能しないイベント後にやるなど、かなり慎重にやることが多いです。コミュニティは流速が命なので……

進捗管理

いくつか策があると思いますが、最終的にフォーラムチャンネルのタグ機能に進捗ステータスを持たせつつ、CF D1で実体のDBを管理して閲覧ビューだけNotionに露出、webhook管理はCF Workersに任せる形にしました。もっと端的にはサーバーレスを優先してspreadsheetを半ば強制的に外しました。

素直に繋ぐならGCP用意してGAS繋いでいくのがいいんですが、repoに置いたコードに対してGASも更新しないといけないのが億劫だったのと、個人的にGCPがあまり手慣れていなかったので敬遠しました。

原稿管理

既存の構成ではGoogle Driveで集めていつつも、最終的にはGitHubのrepoに原稿を全部集約してInDesignで組み上げるやり方を使っていたので、ここでもDriveを外しました。Discordのフォーラムチャンネルにスレッドが立つと原稿repoに対応するbranchとPRが生える感じです。スレッドにファイルを投げてリアクションを入れたらrepo側にもpushが入る感じです。Git LFSの容量に余裕があるのでしばらくそうしていますが、パンクしたら素直に課金するかR2に送るかも。

先にbranchを自分で切って書いてくれていた寄稿者もいるので、このあたりはエッジケースを想定するのが意外と複雑でした。

この構成にしたことにより、編集者視点では常に原稿がDiscordの該当スレッドに集約されている状態にしています。CF WorkersのCPUランタイムが足りないのと安全性の観点からzip解凍は実装しておらず、branchにpushしない限りディレクトリ構造を引き継ぐのを諦めていますが、今のところ十分ワークしています。

なんとかなったか……?

体感ではだいぶサービス間を行き来するコストがなくなって楽になりました。あとは実際に怒涛の原稿が来ないとわかりませんが……

追記 (2026-05-31)

今日のリマインドで36本原稿が来ていますが今のところ鉄火場にはなっていないです。このままいくといいなあ……